武蔵新城スクールの鈴木です。

私が大学で講義をする際に大学生たちに話している話から一つ伝えます。

団塊の世代や、その近くの世代、つまり50代以上の人たちが信じている3ステージの時代は終わりつつあるということです。

3ステージとは、20代前半くらいまで学生をやって、卒業後に仕事をし、60代くらいまで働いて引退して、80代で死ぬという、「教育」「仕事」「引退」を3ステージといいます。
これは、少し前に流行った「LIFE SHIFT 著 リンダ・グラットン/東洋経済」で述べられていることです。
3ステージが終わり、マルチステージになっていきます。マルチステージについては後で述べます。

今の子供たちは就職すれば、企業が面倒を見てくれてそのまま引退して生活が年金により賄えるわけがないわけです。
そもそも、今の子供たちの半数以上が107歳まで生きると言われています。

少子高齢化がいまでもすごいのに、子供たちが寿命を迎える、私たちがいない80年後、日本の人口は6000万人と予想されています。
そのころには年金費を払ってくれる人がいないわけです。

それなのに、親たちの自分たちが成功した、もしくは定年まで逃げ切れると思っている方法を子供に教えるのは間違っています。
1940年代~1960年代生まれくらいまでに成功した「昭和」の方法は、子供たちには通用しないのです。

マルチステージというのは、先の3ステージだけでなく、それに加えて「起業」「探索」「副業」「学びなおし」「ボランティア」などといったことが、何度も、そして死ぬまで続くということです。
定年で引退して余生を楽しむようなことはできないということです。
もちろん、マルチステージが悪いというわけではなく、もっと楽しい生き方ができるようになるということです。
3ステージの就職したらあとは将来を考えなくていいというような方が人として成長できないと思いますし、つまらないでしょう。

どんな一流企業に入ろうと、その企業でしか通用しないような人は、どこへも行けないわけです。
もっとも、その企業で通用している人は、そんなことも気づいていないかもしれません。
大組織で自分がいないと会社が回らなくなるなんて思っている会社員は、一度辞めてみた方がいいでしょう。
誰一人困らないですから。
思いあがったらいけないんです。
そういう考えの人は、逆にリストラにあいやすかったりもします。

当然、創業社長とかなら話は違うでしょうけど。

大企業に就職したところでもはや安定は得られないわけです。

つまり、「高学歴を目指し、いい会社や役所に就職できるように」と親が考えるのは間違っているということです。
もちろん、子供がどうしてもそれがしたい、自分には勉強が向いている、言われたことを言われた通りにやることが得意というのならば、それはそれで応援してあげたらいいと思います。

そうでない場合、子供に何をすればいいかといえば、これからの時代に何が必要なのか親が考え、子供の力を見て、そこに注力できるような環境を用意することです。
そして、親が子供を認め、信じることです。

「生きる力を身に着ける」
何年も前から言われていますが、いったいどれだけの大人がそれを身に着けることができているのでしょうか。
親ができてもいないことを子供にやらせようとするのは難しくないですか。

まず、私たち大人がそれを身に着け、子供に伝えていくことが大切です。
旧来の方法でない方法での「生きる力」です。
昭和のやり方で定年まで逃げきろうと考えている大人は、「生きる力」を身に着けているとは言えません。

私たち大人が「生きる力」を身に着けるためには、テレビ以外から常に情報を収集し、その情報から世の中を読み、考え、仕事に活かすことでさらに身に着けることです。

「休日は寝ているか、テレビをみているか、ゴルフか、スマホをしている親」が子供の成績を見て怒り出していたら、誰が言うことを聞くでしょうか。
一番の「教育」は親が子供にどういう生き様を見せるか、です。

子供はちゃんと見ています。

ただ、その働いている親が「自分には合わないのに無理をしている」場合は、休日は寝ているしかできない、ということはありえます。
それは、選んだ仕事が間違っているか、働き方が間違っているか、何かを変えなければ本当に身体を壊してしまうでしょう。

休日、ずっと寝ていないと身体が持たないのであれば、それは仕事か働き方を変えなければならないという「サイン」だと思います。